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白い巨塔〈第5巻〉 (新潮文庫)

評価:
山崎 豊子
コメント:堂々の完結編!

遂に完結!

初めてここまで長い物語に挑戦して五巻でようやく読破しました。

医療裁判という極めて専門的で一般的に理解するにはあまりに難しい内容ではありましたが、全体を通して小説としてのおもしろさが際立っていて読み続けるという困難さを軽減してくれていました。また章を重ねる毎に命の尊さについて考えさせられ向き合わなければならない時が必ずあることを教えられました。

己の野望を叶える為走り続けていく財前が揺らぐ時がやって来、遂には自らが権威としている癌に侵されているのにも気付かずに蝕まれていく姿に幾許かの哀しさを感じ、痩せ細り死期を悟り始めた心境に一種の痛みすら感じずにいられませんでした。それでいてなお最期の時を迎えた後の彼の医を志すものとしての態度に感服しました。まさにそこにそうあるべき姿で迎えた凄絶なシーンでした。

幕切れに財前の医師としての在り方を自ら体現することで結んだ場面を選んだのは、僕にとっては十分すぎるほど納得のいく終わり方でした。

詳細に物語に触れるのはもったいないのでほぼ読書感想のみに留めました。

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華麗なる一族 下巻

思ってたよりも壮絶でした。

阪神特殊鋼倒産、銀行合併、衝撃の事実、と華麗なる一族の終わりまで一気に突っ走るまさに怒涛の最終巻です。

鉄平への度重なる悲劇に添えられた猟銃自殺という幕引き。

「男らしい死に方だった。」という表現がされていたものの、そこには首を傾げてしまいました。

確かに鉄平は精悍で男の中の男だったかもしれないけど、自分で命を絶つことも男らしいというのかな?妻・早苗、長男・太郎、長女・京子がいるのに。。。と心が重くなった。

一方で万俵家を守るためなら息子であろうと容赦しない大介が遂に大同銀行を手中に収めるため勝負にでる。

自分の野心を優先させやつれ果てた鉄平に止めを刺す辺りかなり徹底してたけど、最後に近づくにつれて萎んでいくような印象を受けました。

鉄平の死から知らされた事実が終わりへの引き金になって物悲しくも結末まで一気に読んでました。

読み終わりは少し寂しさが残りました。

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華麗なる一族 中巻

鉄平の印象がこの巻を読み終わった頃には変わってました。
ゴリゴリに高炉建設を計画し実行に移したあたりは腕利きの技術者で鉄に情熱を捧げた好青年という印象だったのですが、あまりに強引すぎる姿をみてちょっとイラっとしてしまったのは自分自身が鉄平と間逆の性格だからということでしょうね。
阪神特殊鋼の取引先であるアメリカの会社からの取引停止に加え高炉建設に熱風炉の爆発という致命的な出来事が起こり鉄平の立場はますます追い込まれてしまい、上巻で見た力強さが影を潜めていっていったようだった。ここまで苦しい立場に立たされながらも妹を想う姿は立派な兄の姿でした。

ただ、ここまで鉄平のこと書きながらメインは阪神銀行の銀行合併への物語でしたが。。。

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女の勲章 上巻

船場のええとこのお嬢様の成り上がりストーリー。。。
一言でいうと簡単だけど、そこは山崎豊子さんの手に掛かると物語が膨らむこと膨らむこと。
大庭式子が始めた洋裁学校は商才に溢れた銀四郎の手によってどんどん大きくなっていく様子が描かれています。

銀四郎の学校拡大への情熱を見るとともに、式子の成長が読みどころでした。
お嬢様育ちの女性が服飾デザイン界でのし上がって行こうとする野心を見せ始めるあたりは、始まりの式子とは別人になっていくようで面白かったです。時代も今より(確か)5.60年程前の日本ということもあり、女性にとって成り上がるのは相当に難しい時代であったはずで、そこを踏まえてみると如何に度胸が備わっていくのかがわかるような気がします。

心理描写さながら巧みな会話での裏の探りあいなど、相変わらずゾッとしてしまうくらいに人間の怖さがでてるように思います。女性であろうと男性であろうと野心や欲望に関わる部分は変わりはないんだなと。ここ最近山崎豊子さんの本ばっかり読んでいたからなのか、人間に対する考えがまた少し変わりそうです。

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華麗なる一族 上巻

重くのしかかるような内容の分厚さで読み応えがありすぎるくらい。
木村拓哉さん主演のドラマを一話目をみたことがあったので、万俵鉄平が話のメインで物語が進むのかと思いきや(上巻を読んだかぎりでは)阪神銀行頭取である万俵大介(鉄平の父親?)視点や万俵銀平(鉄平の弟)視点であるなど場面ごとに話の中心人物の視点に目まぐるしく変わっていくので、内容を追いかけるのに結構苦労したものの読んでいても退屈しなかった。

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白い巨塔〈第4巻〉 (新潮文庫)

一度権力を得ると容易にはそれを手放したくはない、そういう思いが財前をみていると感じずにいられなかった。走り出したらもう止まることはできない、そういった世界で生きていくと覚悟を決めた財前に野心の“野”の字もない自分にはその姿が逞しく強くてちょっと羨ましくも思えた。かといって、手に入れた権力を振りかざし一人の患者の命を蔑ろにした者がこのままで終われるわけはないとついつい患者側の心境を思いつつページを捲ってました。
金と権力で控訴審に備える財前側と誠意と信念に基づき走り回る原告側の攻防が見所です。
原告側の関口弁護士の孤軍奮闘にも近い頑張りにおもいもよらぬ味方が増えたりと控訴審へ伏線が敷かれていき先への期待が膨らんでいきます。

控訴審が始まり遂に決着へと向かっていく流れに、引き込まれています。
それぞれの思惑とか読ませ方が絶妙でした。

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白い巨塔〈第3巻〉 (新潮文庫)

巨大な力に立ち尽くした。
読み終わりに愕然とした無力感を味わった。
複雑難解な医療裁判で専門知識の乏しい一般市民が一名門国立大学病院に立ち向かう姿は勇猛果敢だった。それと同時に野心と実力が備わった者の権力への執着心をひしひしと感じた。望むままに栄光を手にした財前と対象に信念に基づき行動したために長年築いた立場までも追われることになった里見。
こんなにも露骨でいいのかというほどの圧力にも屈しなかった里見に信念の強さに憧れるけど、その憧れは自分自身ではまっとうできないからこその憧れなんだと感じた。

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白い巨塔〈第2巻〉 (新潮文庫)

若くして成り上がろうと第一外科教授の椅子を狙う野心満々の財前と、その慢心に対して不快感丸出しの東教授の直接対決が見物です。

こんなにどろどろしたものなのか!!ってくらいに、これでもか!これでもか!と裏の取り合いに利権を絡めてそれぞれの支持する側を如何に有利にするかを思索しつつも、それでいて万が一のことも考えてきっちり自己保身も忘れないしたたかさはまさに綺麗ごととは掛け離れた私利私欲にまみれた世界でした。
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白い巨塔〈第1巻〉 (新潮文庫)

評価:
山崎 豊子
Amazonランキング: 46818位
国立大学の医学部を舞台としたお話。

あらすじは数年前からドラマでみていたから知っていましたが、
実際に本を読んでみると、、、これがほんとに面白い!

山崎豊子さんの作品は以前より読んでみたいと思っていましたし、
他の人からも面白いからと勧められていました。

医局というテーマがありつつも、一人一人の人物の個性がはっきりして
それぞれが絡み合って面白さをさらに際立たせています。

全5巻からなるものの1巻を読み終えたばかりですが、
次々と頁を進めたくなります。
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