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神々の山嶺

評価:
夢枕 獏
コメント:それがそこにあるから。そこに山があるから。山に向かうものの熱い想いに心が焼けた!

山に挑む男達。
1924年第3次エベレスト遠征隊のメンバーのジョージ・マロリー、同じ隊のメンバーであったアンドリュー・アーヴィンのエベレスト初登頂への挑戦。そして遭難。二人が残した謎である登頂は達成されたのか?をテーマにしたフィクション。
カメラマン深町がネパールで偶然手にしたカメラからマロリーの登頂への謎解きが始まり、羽生との出会いがより深く謎を追うきっかけとなる。
羽生があまりに無骨で不器用な人格でいながら、山にだけは常に誰よりも真剣で嫌いになれない。そこまで自分を捧げることに憧れを感じる人も少なからずいるから。自然に向かう人達は常に命を懸ける覚悟がある。僕はそうはなれない。だからこういう人達に憧れがある。

そこにそれがあるから。

それを地で行く人ってほんとに馬鹿でかっこいい。

山系の本としては10年以上前にタイトルを知ってたのにも関わらず、ずっと手を出せずにいて、ひょんなことから仲良くなった友達に餞別としてもらったこの作品。今まさに手にとっていい本だと感謝してやみません。

瑠璃の方船 (文春文庫)

書くことで生きていこうと決めた「僕」。

破天荒すぎる生き方をする河野城平。

自分の思うままの行き方をしていこうとする五十嵐恵子。

「僕」を中心に綴られた私小説風の物語。

「僕」とは著者の夢枕獏さんでしょうが、こんな風になれたらなぁという憧れを感じます。

一方、河野城平は憧れるけども自分ではこうありたくないなと。

刹那的な生き方をする河野城平に読んでるうちに熱くなってくるのに、どこか悲しささえ感じてしまう。

なんといっても将棋を打つ場面がカッコイイ。

盤面に向かい歯軋りしながら相手の攻めをしのぎきる河野城平の描写が凄い。

もうね、このシーンに一番憧れる。

だって鬼気迫る迫力ってある人にしかない気がするから。

「僕」と河野城平にはそれぞれの“それ”があるからかっこいい。

特に河野城平が最後盤面に向かい俯き、

ボロボロと涙を溢し言った「ありがとうございました」の3回。

全部出し切った。

終わりを悟った瞬間とその道に先を見なくなった河野城平という終わり方。

切な過ぎるかっこよさは何度読んでも胸を打たれます。

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